米国でベストセラーになったリーダーシップに関する本です。世界20数か国で翻訳され今なお愛されているロングセラーであり、著者はリーダー育成のコンサルティング会社を経営していてコンサルティングと講演活動を精力的に行っていて、リーダーシップの大家で名が通っています。
ジョン・C・マクスウェルはビジネスマンになる前は牧師でした。日本の小さな教会と違って米国の教会の規模は大変大きく、教会を成長させるためには高いリーダー力を必要とするようです。本では権限構造がしっかりしている会社組織よりもボランティア組織の方がより高いリーダー力が必要とされると言及しています。
21の法則は、リーダーに関する事象、求められる資質、取るべき行動の3つに分けられると考えます。求められる資質については彼の別の著作もあるので、そちらを紹介するときに触れます。
「リーダに関する事象」について、
彼は組織のパフォーマンスの天井はリーダーのリーダ力で決まると言っています。リーダー力は本人の持つ様々な能力に乗算で作用するとも言っています。
またリーダーシップを測る物差しは影響力であり、一見リーダーと見られないマザーテレサは強いリーダーシップを持っていると言っています。言い換えれば組織のトップを目指さなくとも影響力のある人物に成りたければリーダーシップを学ぶべきだと言うことです。
リーダーシップは才能のように思われがちですが、日々の努力を積み重ねることで培うことができるとはっきり断言しています。
わたしがこの本を読んで一番印象に残ったのは、人はビジョンではなく素晴らしいリーダーのビジョンに従うということ。非暴力・不服従というビジョンに人は従ったのではなく、ガンジーのビジョンだったから従ったということ。ビジョンが素晴らしすぎるのにリーダーが素晴らしくない場合にはふさわしいリーダーを選ぶ行動に出るのだそうです。
「取るべき行動」について、
「リーダに関する事象」の範疇に入りますが、素晴らしいリーダーの周りには育てれば将来素晴らしいリーダーに成りうる人たちが集まってくるのだと言いいます。
現在リーダーである人たちの統計を取ると本人が尊敬するリーダーから育てられたと思っているリーダーが約9割を占めています。
実はここに組織を爆発的に成長させる鍵があります。
組織のリーダーはチームのリーダーやリーダーのリーダーを育てることに重点的に時間を使えばこの時間は投資となります。育てたリーダーたちが従うメンバーを育てるので、トップの影響力はリーダーたちを通して組織全体に波及します。
また、育てたリーダーの中から腹心となるリーダーを選出でき経営基盤がしっかりしてきます。そのときしなければならないことは、腹心となったリーダーたちに権限を委譲することです。もちろん彼らがリーダーの地位を脅かすかもしれない、しかしあなたが素晴らしいリーダーであれば、尊敬の法則が働いて、彼らは従ってくれます。だからそのような危惧は無用ということになります。
そして自分がいなくなっても組織で成長できるように、後継のリーダーをしっかり育て、そのリーダーがいかんなくリーダーシップを発揮できるような環境を構築しておくことが真のリーダーには求められます。