経営学の権威、ヘンリー・ミンツバーグ教授との出会いを機に「リフレクションラウンドテーブル」を日本に導入した株式会社ジェイフィールの共著。10年の実績を得て広くいろんな職場で自主的に取り組んで欲しいと考え本にした。
コンサルタントやプロのファシリテーターがいなくても、自分たちの力で組織を変える方法「マネハプ」について解説している。「マネハプ」とは「マネージメントハプニングス」の略称で「リフレクションラウンドテーブル」の最初の30分に行う週一の活動を抽出したもの。マネージメントはあるがマネージャーだけに限ったものではなく、自分の仕事や自分自身もセルフマネジメントしている意味では全員が対象。「内省と対話」が中核にある。
日頃の些細なことでも、自分の中で気になっていること、何とかしたいなと思う出来事(経験)をひとつ取り上げる。自分でいつもと違う角度から振り返ってみる(内省)。さらに仲間の視点から見つめ直して洞察を深める(対話)。そこからの気づきを実際の職場で活かしていく(行動)。を通し、経験-内省と対話-気づき-行動の4つをサイクルさせる。
この自然な実経験から学ぶやり方は内発的動機に結びつき、本質的で実践的な知恵を創出し、信頼関係を生みコミュニティーが育まれる。ヒーロー型ではなく関与型のマネージメント。仕事が面白い、職場が楽しい、会社が好きだを生む。何とかしたいがどうしたらいいかわらず、モヤモヤしていたり、イライラしたり、あきらめたりしている人たちへの処方箋。
マネハプシートを使うだけでも意外と自分が周りに働きかけていないことに気づく。
内省とは自分を客観的に見つめること。自分のことを語るとき人は自らを客観的に見つめることができる。反省は同じ失敗を繰り返さないことだが、内省とは「経験」を熟慮して、意味を見出し、気づきを抽出すること。内省は、経験そのものを俯瞰する、出来事・場面を抽出する、事実と感情を分ける、今振り返ってみて思うことを書き留めるの4つのステップで進む。
マネハプでは1人3分語り、3分フィードバックをもらう。マネハプでは問題解決や成果の確認はしない。気づきを得ることを重視する。ひとりでも内省はできるが、深めるのはなかなか難しい。自分の固定観念に気づくような異なる視点で、自分を見つめ直すことが必要だからである。また対話を行うと自分の悩みに共感してもらうことで今の自分に自身が持てる。ただし共感すれど迎合せずの姿勢が大事。最初フィードバックが難しいが話を聞いていて自分だったらこう感じるのにというポイントを尋ねるといい。
マネハプの場をガス抜きや秘密の情報交換の場と勘違いする人たちもいる。そうならないようにガイドを活用したりする。
まずは小さく、信頼できそうなひとりに対してでいいので本音を語ってみる。自分が変わりたいと思っていることを具体的に話すのが良い。そして同じ階層の人たちに広げてみる。自分のチームでやるのもいい。最初から詳しい説明をせずにとにかくやってみようという感じが上手くいく。最初の1人目がきちんと自己開示するなどの手本を示せるといい。最初の2回のマネハプが肝心。うまくファシリテートしよう。既存の会議の冒頭にするのが良い。うまく時間を捻出してみよう。
1週間、39時間は成果を追求する。しかし1時間だけ違う視点で見つめてみる。そうすると残りの39時間がとても楽になる。
聞き手のポイントは、心と体を開いて受け入れる、話し手の感情に注目する、話し手の内面に目を向けることです。認知心理学では、行動、感情、固定観念、価値観、信念、ビジョン、アイデンティティとなっている。
質問のテクニックはクローズドクエスチョンとオープンクエスチョン、チャンクアップとチャンクダウン、過去質問と未来質問。またモノ・コトではなくヒトに焦点を当てると良い。
話し手の語るポイントは、場面を特定する、事実と感情を分ける、今振り返って思うことを語る。またフィードバックはギフトという姿勢で臨もう。
マネハプをしていて「私は」「本当は」「そもそも」という言葉が発せらるようになったら、マネハプの本来の目的に近づいていると考えて良い。
マネハプをしていると、組織同士の関係性が良くなる。そしてあの人がここまで取り組んでいるんだから私もこの位取り組んでみようというピアサポート・ピアプレッシャーが働く。
マネハプは大きな変革の土台づくり
マネハプの時間を充実されたものにするためにはマネージメント理論て照らし合わせてみたりすることも効果的。また時間を延長して問題解決に取り組むのもいい。